うみまち発!crystal diary

医療現場で働いています。ちょうど人生折り返し地点、これからもご機嫌に過ごしたいです。よく遊びよく学びよく働こう。

ペインクリニックの問題点


長年ペインクリニック診療を行い

患者さんをたくさん診てきたからこその

問題点を保険診療報酬の視点から

考えてみたいと思います。

 

通常の医療は、保険証を見せることで

自己負担が3割とか1割とかですみますよね。

それを保険診療といい、その反対が自費治療です。保険診療では、治療法ごとに点数が決まっていて

それにのっとって治療を行いその点数を合計したものを届け出て、診療報酬をもらい、

それが医療機関の収入になります。

 

ペインクリニックでは、その診療報酬の点数の付け方に色々な問題があります。

 

1、神経ブロックにばかり高い点数が付いている

 

ペインクリニックに来られる患者様で、神経ブロックが必要な方は、それほど多くありません。一昔前は、とにかく受診された方に繰り返し繰り返し神経ブロックをしていました。他院で毎週神経ブロックを3年200回くらい続けましたがあまり症状変わりません、なんて方もいらっしゃいました。自律神経失調の方に100回200回と星状神経節ブロックをしていましたが、今はもうしている病院は少ないと思います。

今は、痛みに関しても知見が増えてきて、神経ブロックが効かない痛みも多いし、ブロックを施行する頻度は減ってきました。

神経痛に対しては選べる薬も色々増えています。

自律神経バランスを崩して痛みにつながっている場合は心理的なアプローチが

高齢の方の筋骨格筋系の痛みにはリハビリテーションを組み合わせたアプローチがいいとされてきています。

 

ところが、例えば、腰痛の方に5分かけて硬膜外ブロックを行うと手技料は900点ですが、20分間理学療法士が1人ついてリハビリを行って170点です。

 

昔風の何でもかんでもブロックという治療ではなく、その患者にあったオーダーメイドの治療を考えるほど、バリエーションが増え人件費が増え、保険収入が少なくなる傾向にあります。

 

その弊害として、大学病院などでペインクリニックは不採算部門になっていきます。麻酔科からペインクリニックに出せる人員が少ないせいもあるのでしょうが、県内の大学病院のペイン外来もここ数年で三件、閉鎖または縮小されています。

 

そのまた弊害として、医学生がペインクリニック診療をみたり、教育を受ける機会が減っています。今の研修医に星状神経節ブロックのことを聞いても知っている人は少数派です。

 

2、神経ブロックなどの注射治療の点数も現場の診療とマッチしていない

 

先ほど硬膜外ブロックは手技料が900点と言いましたが、それに比べて、時間も手間もかかるトリガーポイント注射は80点です。

 

トリガーポイントは筋膜性の痛みに即効性もあり患者様の満足度も高いのですが、全身の肩や腰や何箇所も注射するとなると体力的にも時間的にも大変ですが、硬膜外ブロックの10分の1の報酬は割りに合わないです。

 

他にも、仙腸関節ブロック、腰椎椎間関節ブロック、それから発展した後枝内側熱凝固、それから、梨状筋ブロックなどいいブロックはたくさんあるのですが、保険収載されていないもしくは、関節ブロックもとても点数が低いので、実施したくても躊躇してしまうことがあります。保険収載されていない場合、点数を取らないことになるので、サービスで行うか、自費で行うか、他のブロックの名前で取るかですが、混合診療がダメなので自費だけで全ての受診代をと思うと高額になり患者様のメリットがないし、他のブロックで代用というのは本来いけないことです。

 

いい手技があっても、それに見合う保険診療の決まり事である点数の部分でブレーキがかかって、治療ができないとかしにくいとかというのは、とてもストレスフルで、治療者としてもなんだかなぁ。と思います。

学会でもいろいろな手技の報告があります。

最近では筋膜リリースの話があり、自身もすることがありますが、

生理食温水を使うとブロックではないため保険点数の取り方がやはり問題になり、学会の質疑応答でよく質問が出ます。

 

こういう保険収載の問題が、ペインクリニック診療を広めていく時に足かせになっていると感じます。

何年も前にトリガーポイントの点数を上げるとかいう動きを聞いたことありますが実現せず、未だに収載されているブロックは古いし、保険診療の中で生きていくのはなかなか大変な分野です。

 

とつらつら、書いてみました。

開業していた時はまだ若かったので、トリガーでもとにかくたくさん体を動かして一日中走り回ってやっていましたが、あんな激務はもう出来ないなぁと思います。